農林水産ダイバーシティ連盟は、都会で働きながら農業事務を支援、あるいは地方で農家をやりながら企業のテレワークをするなどの様々な柔軟な働き方で活躍する人たちのことを、「テレノーカー」と名付け、活躍をサポートしています。
この記事では、「テレノーカー」に焦点を当て、その生活や仕事スタイルをご紹介します。
今回は、越阪部さんにお話を伺いました。大手IT企業に5年間務めたのち、ご実家の経営する農家を主体としながらテレノーカーとしての活動をしています。
越阪部さんの農業との関わり方やライフスタイルを通じて、兼業や農業への興味を持つ人々に向けたヒントを探りたいと思います。
越阪部さんがテレノーカーになったきっかけ
ーインタビュアー:
IT企業へ5年間勤められていたとのことですが、テレノーカーをしようと思ったきっかけを教えてください。
ー越阪部さん:
実家で父一人が経営している農家を継ぐため、会社員を退職しました。ものづくりや体を動かすことが好きだったことに加え、元々日本の農業のあり方を少しでも変えたいという気持ちがあり、将来的には継ぐことを考えていました。そんな時、文化放送でノウタス株式会社を知り連絡をしました。
ーインタビュアー:
最初に、IT企業へ入職したきっかけは何ですか?
ー越阪部さん:
大学卒業後は、いきなり家業を継ぐのではなく、会社員をしながら今後のことを考えてもいいのではないかと思い、将来農業に還元できると考えたIT企業に就職しました。
ーインタビュアー:
IT企業ではどのような業務をされていましたか?
ー越阪部さん:
地方自治体の帳票発行システムの管理に関する営業や、AIのソリューションを武器に地域の街づくりに貢献したり、総合政策の検討をITで支援する業務をしていました。
テレノーカーとしての働き方
ーインタビュアー:
現在のお仕事について具体的に教えてください。
ー越阪部さん:
現在は、農業9割 テレワーク1割で、テレワークは夜や雨天時など農作業ができない日が中心です。農業は基本的には8時半~18時 ・テレワークの業務に支障が出そうな時(納期が間に合わない等)は農業作業を調整してテレワークを行っています。
ーインタビュアー:
本格的に農業を始めるにあたって、どのような思いがありましたか?
ー越阪部さん:
農業に関してまったく知識がなかったので、前職を辞める直前の1年間は、土日は父に農業を教えてもらっていました。さらに、日本農業技術検定などの勉強もして知識を得ていました。大変でしたが、体を動かすことが楽しく、会社員とは全く違うので、新鮮味がありました。
ーインタビュアー:
所沢で農業をされているとのことでしたが、テレノーカーで苦労したこと、大変なことはありますか?
ー越阪部さん:
スケジュール管理の難しさがあります。農業繁忙期の両立や、天候や作物の生育状況による突然のスケジュール変更があるため、前倒しにできることは早めに実行することを心がけています。
ーインタビュアー:
今年、苦労したことを具体的に教えていただけますか?
ー越阪部さん:
7月雨不足ですね。31日間、休まず水を与え続けたことが大変でした。費用対効果も考慮しITと掛け算しつつ、マイナスにならないように計算して来年はインフラに設備投資したいと考えています。
越阪部さんが栽培する所沢市の特産品の里芋
ーインタビュアー:
テレノーカー(兼業農家)で良かったこと、農業を初めて生活はどのようにかわりましたか?
ー越阪部さん:
自由にスケジュール管理ができることです。
天候に振り回されることはありますが、旅行がしたいときは、農作業を前倒しにするなどして、働きたいタイミングを自分で調整できます。さらに、農家のみでなく、テレノーカーをしていると多くの人と関わることができるので、様々な情報が入り視野が広がります。
農業だけだと安定しない収入面に関しても、テレノーカーだと、農業以外の収入は安定しています。今は、テレワークの仕事は1割ほどで、ノウタス株式会社にて依頼されたアプリ検討のための調査や各種申請書類の作成、取り組みの支援、現地での協会の手伝いなどをしています。
ーインタビュアー:
農業に興味あるひと、就農を考えていることに向けてアドバイスをお願いします。
ー越阪部さん:
私の場合は9割が農業で1割がテレワークですが、9割テレワークが1割農業でもテレノーカー。難しく考えず週末や長期休暇の時だけでも農業に触れてほしいと思います。 会社員→農家、農家→テレノーカー両方経験しているので、お気軽にご相談ください。
これからもテレノーカーとして活躍される方々にスポットを当て、様々な視点からのインタビューを通じて、その魅力と挑戦をお届けしていきます。次回の配信もお楽しみにお待ちください。